僕は子供の頃から朝寝坊で――
そのために、イヤな思いを散々にしているものですから――
翌朝、早くに家を出なければならないときには、徹夜の覚悟を決めるのですよ。
(よし、今夜は朝まで寝ないぞ!)
と――
部屋の電気を消すこともなく――
わざと寝間着に着替えなかったり――
それでも、結局は眠るのですがね(笑
うとうと……と――
それくらいが、ちょうどよいのです。
さもなければ、翌朝、絶対に起きられない――
少なくとも、そういう気がしてしまう――
そんな風に翌朝のプレッシャーに悩まされている人は――
いつか必ず心を病むでしょう。
幸い、僕は、そんなプレッシャーにさらされるのが稀なので――
心を病まずに済んできましたが――
そんなプレッシャーにさらされつづけることで心を病む人も少なくはないでしょう。
最適な睡眠時間というのは、個人差が激しいと考えられています。
3時間で平気な人もいれば――
10時間でないとツラい人もいる――
そういう人たちが集まって1つの社会を作っている――
それなのに――
皆、同じような時間に起きて同じような時間に寝るのが、社会のルールです。
少なくとも、それが建前です。
心の病いは社会が作る――
という側面は否定しがたいでしょう。
こう述べると、
――心の病いとは、人間の精神にみられる変調のうち、社会の総意によって認知された特定の変調の和である。
という意味で解釈されることが普通でしょうが――
そうではありません。
――社会に適合しようと努力をする人間が、精神にきたす特定の変調――
という意味です。