知識は人を安心させますが――
同時に不安にもさせますよね。
よく知っているがゆえに、かえって恐くなる――
ということはあるのです。
医学などは、その典型でしょう。
病気のことを色々と詳しく教えてくれるのが医学です。
ですから――
医学を学ぶことで安心を得られる側面はありますが――
かえって不安に陥ってしまうという側面もあります。
僕は、たいていの学問に年齢制限は必要ないと思っているのですが――
医学は別ですね。
年齢制限が必要でしょう。
理由は、難解だからではなく――
不安にさせるから――
医学をまじめに学ぶには――
結局は、人の生老病死をありのままに受け入れるのが、前提なのです。
それを受け入れられないうちは、あまりまじめには学ばないほうがいいでしょう。
心が不安でいっぱいになります。
僕は、大学時代、医学を専攻していました。
まじめに学ぶ気には、どうしてもなれませんでした。
そんな自分は不まじめなのだと、当時は思っていましたが――
それだけではなかったでしょう。
人の生老病死を受け入れようとしていなかったのです。