マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

男心と秋の空

 きのう、タクシーに乗っていたら、運転手さんに、
「天候が定まりませんね」
 と話しかけられました。

「そうですね」
 と応じると、
「やはり、“男心と秋の空”でしょうかね」
 とおっしゃる――

 一瞬、
(え? “女心と秋の空”じゃないの?)
 と思いかけましたが――
 直観で、
(たぶん、“男心”のほうが正しいんだろう)
 と思い直しましたから――
 そのまま運転手さんのお話をきいておりました。

 実際、あとで調べてみたところ、

 ――男心と秋の空

 のほうが本来の言い方であり、

 ――女心と秋の空

 というのは、近代以降になって広まった言い方なのだそうです。

 たしかに――
 秋の空のように移り気が激しいのは、女心よりは男心でしょう。

 とくに人生の重大事に限ってみると――
 女性よりも男のほうが、本来、決意や決断をコロコロと変えやすい――

 僕は男なので、よくわかります(笑

 ただし――
 近代以降、様相が変わってきたのでしょうね。

 男は、なぜか理屈っぽくなりました。
 何かと理屈で凝り固めて、本来の移り気の激しさを覆い隠そうとしてきた――

 一方――
 女性は近代以降もそんなに理屈っぽくはないままですから――
 とくに移り気を覆い隠そうとはしてこなかった――

 だから、近代以降は「女心と秋の空」のほうが広まっていったのだろうと思います。

 が――
 本当は違う――より深く真実を突いているのは「男心と秋の空」ですよ。

 男は、自分の気ままな男心を御するために、理屈の凝り固め方を学ばねばなりません。