危機管理の要諦は、
――常に最悪の事態を想定する。
でしょう。
それは、一切の希望的観測を排除した予測のことです。
ということは――
危機管理においては、
――想定外
とか、
――未曾有
という文句は、過誤にこそなれ、方便にはなりません。
それは、危機管理が全然なっていなかったことの証拠なのです。
にもかかわらず、「想定外」とか「未曾有」という言葉が、よく使われていますね。
危機管理の当局や当事者の口からも、時々きかれます。
あってはならないことです。
なぜ、こうなのか?
背景にあるのは――
この国の社会に「常に最悪の事態を想定する」を是とみなす風潮が欠如していることです。
むしろ、積極的に忌み嫌う――
試みに、常に最悪の事態を想定して発言をしてみると、
――縁起でもないことをいうな。
などと詰られる――
きっと言霊信仰の一種なのでしょう。
それはそれとして、少しは汲み取ったほうがよいのかもしれません。
が――
敢えて発言をすることで邪気を払えると考えても良さそうなものなのに――
なぜか、そうとは考えず――
すぐに「縁起でもないことをいうな」となってしまう――
常に「縁起でもないこと」について考えを巡らせていなければ――
危機管理などは不可能です。