自分に都合の悪いことでも、臆することなく口にする――
それは、東洋の叡智ではないかと思っています。
自分に都合の悪いことを取り除こうと頑張るのではなく、また、自分に都合の悪いことから目をそらさせるのではなく――
それを素直に認めてしまう――
――それは事実である。
と――
もちろん、西洋にも自分の弱点を素直に認める美徳というのがないわけではないのでしょうが――
西洋では、そういう美徳よりも、その対極にある美徳――
例えば、自分の弱点を克服しようとする向上心だとか、弱点を隠しきろうとする警戒心とかが――
より受け入れられやすくなっているように感じます。
東洋と西洋との価値観の違いは、過去に多くの識者たちによって論じられてきたことで――
今さら僕が論じる意義は全くないのですが――
一つ思うことは――
自分に都合の悪いことをあえて口にする叡智というのは――
心に余裕がなければ体現はできないであろうということです。
つまり――
東洋の人々が西洋の人々に対して劣等感をもっているうちは、容易には顕然化しないであろう、ということです。
東洋の西洋に対する劣等感――
それは、主に東洋側からみた近現代史に関わる文脈から散々に語られてきましたが――
結局は、ここに行き着くと思うのです。
ここ数年、
――G2
などと称され、中国とアメリカとの2国間関係が取り沙汰されるようになってきました。
中国の人々が、
――うん、そうだ。これからはG2だ!
などと息巻いている間は、G2が世界の二大強国と目される日は来ないでしょう。
が、
――G2? とんでもない。我々はアメリカに比肩しうる国ではない。
などと軽く受け流すようになったら、話は別です。