マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

奇跡

 ごく自然なことが起こっても――
 その現象の背景がわかっていなかったら、

 ――スゴい奇跡が起こった!

 とみなされやすいものです。

 極端な話――
 もし仮に四季の周期性を知らない人がいたら――
 その人は、夏がすぎ、秋がすぎ、冬がすぎ、

 ――この世の終わりだ。

 などと思っているところへ、春がきて、

 ――奇跡だ!

 と歓喜するに違いないのです。

 ……

 ……

 え?

 そんなバカなことはありえないって?

 ……

 ……

 たしかに、その通りですね。
 四季の周期性を知らない人などは、いないでしょうから――

 が――
 この「四季」が、「人生の四季」だったら……?

 人生では、10~20代を春に、30~40代を夏に、50~60代を秋に、70~80代を冬に喩えられます。

 もし、80代も後半になって、徐々に若返っていったら――
 誰もが、

 ――奇跡だ!

 と歓喜するでしょう。

 たしかに、それは奇跡に違いありません。

 そんなことが起こりえないことは、ほぼ全ての人が知っているからです。