――人前で泣くことは厳に慎むべきである。
という風潮が根強くあります。
経済産業大臣の海江田さんが、国会の審議中に涙を流し、「政治家は泣いたらダメだ」という批判が噴出したことは、記憶に新しいことです。
海江田さんは民主党の代表選挙に立候補されていますから――
この批判は、もしかすると命取りになるのかもしれませんね。
が――
僕は、「人前で泣くこと」がいけないことだとは思っておりません。
「人前で泣くこと」が絶対的に悪いのではなく――
泣いても良いときとそうでないときとがある、というだけのことだと思っています。
泣くべきところでサラりとなける人がいれば――
その人は、むしろ立派です。
自分の心の動きを、包み隠さず、表に出せる勇気があるのですから――
「泣くべきところ」というのは、
――自分の心を動きを積極的に表に出すべき状況
です。
そうすることで、周囲の人々の共感を得たほうがよいような状況ですね。
それとは別に――
自分の心の動きを絶対に表に出してはいけない状況というのも、あります。
感情を排し、理性的な言動に徹するべき状況です。
そのような状況で泣いてしまったら、周囲の人々に困惑が広がります。
場合によっては迷惑をかけることにもなりうるでしょう。
「人前で泣くことは厳に慎むべき」という警句は、そのような状況に限って妥当といえるでしょう。
海江田さんの話に戻るならば――
泣かれたかどうかが問題なのではありません。
泣かれたときの状況がどうであったか、です。