知的に誠実な人というのは――
自分の知力の限界を正しく把握し、かつ、つねに正味の知力を発揮しようと努めている人だと思います。
実際以上の知力を発揮しようとすれば、もちろんのこと――
実際未満の知力に抑制しようとしても、誠実な印象は与えられません。
ところが、
――組織のトップは自分の知力を十全に発揮するものではない。
という考え方があります。
とりわけ東洋に、そのような思想が根強いようです。
この思想に基づけば、
――組織のトップは知的に不誠実な印象を与えて構わない。
ということになります。
西洋では考えられない発想でしょう。
リーダー論を持ち出すときは、こうした東西の思想の相違を十分に念頭に置く必要があります。
少なくとも――
難問を抱えている組織のリーダーがとるべき態度というのは、東西で全く違うといってよいでしょう。