20年後は、すごく遠くに感じられるのに――
20年前は、すごく近くに感じられる――
そんな、
――非対称性
が――
時間の流れにはあると思うのです。
もちろん――
この「非対称性」は、自身の記憶に根差した主観が醸し出す演出です。
20年前は、きわめて主観的に体験している過去ですが――
20年後は、つとめて客観的に想像している未来です。
主観的な体験が身近に感じられ――
客観的な想像が縁遠く感じられるのは――
しごく当然といえましょう。
が――
このことに、人は、なかなか気づけない――
時間の流れは、過去も未来も等しく一定だと思っている――
なるほど――
物理的世界観に照らせば、それは多分その通りでしょうが――
人は、物理的世界観だけを頼りに生きているのではありません。
心理的世界観に大きく左右される存在です。
その世界観に照らせば――
時間の流れは、決して一定とはいえないのです。