――偽善
に対し、
――露悪
といいます。
自分は本当は悪だと思っている――
が、善であるかのように振る舞う――それが「偽善」です。
一方、「露悪」とは、自分の悪をことさらに曝け出す――
必要以上に自分が悪であることを強調する――
そういうことです。
「偽善」にも「露悪」にも共通しているのは、
――人は、本来、悪である。
という性悪説です。
ご存知のように、性悪説に対し、性善説があります。
――人は、本来、善である。
という前提です。
性善説に立つならば、「偽善」も「露悪」も具合が悪い――
今ひとつ、しっくりとこない言葉です。
そこで、
――偽悪
という言葉が生まれたのでしょう。
自分は本当は善だと思っている――
が、悪であるかのように振る舞う――
まさに「偽善」に対する厳密な対義語です。
が――
ちょっと気になることがあります。
「露悪」に対する厳密な対義語がないことです。
――露善
少なくとも僕は聞いたことがないのですね。
ということは――
やはり、性悪説のほうが正しいのかな……。
少なくとも、性悪説のほうが性善説よりも説得力がある――
「露善」という言葉がないという一点において――
そう思います。