ビジネスなどで、よく、
――ウイン・ウインの関係に――
などといいますが――
そういう話をきくたびに、
(本当に“ウイン・ウイン”になることって、あるのかな)
などと思ってしまいます。
「ウイン・ウイン」というのは――
例えば、Aという者とBという者とが「“ウイン・ウイン”の関係にある」とは、「AとBとが互いに交流を保つことで、AにもBにも利益がもたらされている」ということですが――
そこで――
僕などは、つい意地悪く思うのです。
(Aの利益とBの利益とは、厳密に等しいのか)
と――
(等しいわけないだろう)
と――
「“ウイン・ウイン”の関係にある」とは――
単に――
どちらか一方だけに利益がもたらされ、残りには不利益がもたらされている、というわけではない――
という意味であって――
両者にもたらされる利益が等質・等量であることを保証するものではないでしょう。
現実世界の不条理に、よくよく思いを致すならば――
「ウイン・ウイン」の「ウイン(win)」には、厳密には、大小の区別があるはずなのです――
「大きな“ウイン”」と「小さな“ウイン”」とが――
ちょっと悲しいことではありますが――
でも――
それは、おそらく誰にも否定しようのない現実でありましょう。