人の気持ちは、いかんとも制御しがたいものです。
ここでいう「気持ち」とは――
主には、情念ですね――理念ではなく――
情念は、事実や論理では語り尽くせません。
いくら事実を積み上げても、いくら論理を繰り出しても――
気持ちの行方に影響を与えることは、ほぼ不可能といってよいでしょう。
――それは頭ではわかってるんだけど……、気持ちがね……。
との弁明に行き着くのです。
ここでいう「頭」とは、理念のことですね。
では、
――気持ちは変わらないのか、未来永劫に不変なのか。
といえば、そうではなくて――
些細なキッカケを経て、にわかに変わるものなのです――それも、自発的に変わる――
変えようと思っても、なかなか変わらない――
が、変わるときは、何事もなく、ひとりでに変わっていく――
それが人の気持ちです。