ひと度ウソをついてしまったら――
あとは歯止めがきかなくなるのですね。
ウソの鎖が次々と繋がれ、伸びていく――
一つのウソが、新たなウソを招きこむ――
ですから――
本来、ウソは、ただの一つだって、つかないほうがよいのですが――
そうはいっても、人間です。
不幸にして――
あるとき、ふとしたウソをついてしまう――
そうなったら――
仕方がありません。
意を決し――
ウソの鎖を繋ぎ、伸ばしていきましょう。
ウソからウソへ、その次のウソからそのまた次のウソへ――
一つのウソを守るために、新たなウソを作りこむ――
そうやって、ウソの鎖を伸ばしつづけている人を――
あるとき、どこかで、ふとみかけても――
どうか、皆さん――
何もいわないであげましょう。
もちろん――
ウソの鎖は、よくありませんよ。
必ず誰かを不幸にします。
が、その鎖――
ひと度つながれはじめたら――
もはや、そう簡単には断てないのです。
不用意に断ってしまったら、もっと誰かを不幸にする――
ウソの鎖は――
決して断ってはいけません。
それが自然に途切れるのを待つのが、よいのです。