マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

決して合意を目指さない

 いわゆる討論(debate)は、

 ――議論(discussion)の特殊な一形態

 とみなすことができます。

 討論には、単なる議論とは決定的に異なる点があって――
 それは、

 ――決して合意を目指さない。

 という点です。

 相手の主張に同意していたら討論に負けたことになりますから――
 つねに相手の主張に反対し続けることになるのです。

 もちろん、討論の戦術上、部分的に同意することはありえますが――
 それは、あくまでも戦術上の判断です。

 つまり――
 討論では、基本的には、反対のための反対に固執せざるをえない――

 それが宿命です。

 そのような宿命を負っているからこそ――
 討論は、それを少しでも創造的な営みにしようと思うのなら、娯楽ないし教育の観点から捉える必要があります。

 討論を真に受けてはいけません。

 それとは別に――
 政治的討論というものがあります。

 これは、唯一、真に受けてよい討論です。
 ただし、どこまでも非創造的で、破壊的な討論ではありますが――

 政治的討論は、おそらくは民主主義政治における必要悪なのです。

 それは、本物の刃を切り付けあって闘うよりは遥かにマシであるという意味で――
 大変に貴重です。