マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

実証の営みの計画力

 自然科学に信頼性をもたらしているのは、主には、

 ――実験

 や、

 ――観察・観測

 なのですが――
 こうした実証の営みの重要性が、自然科学の諸領域で強調されるときに――
 しばしば、その実証の営みの実行力ばかりに焦点が当てられるのですよね。

 曰く、

 ――とにかく、手を動かして実際にやってみることが大事だ!

 みたいな――

 僕は、そうしたスローガンが好きではありません。

 だって――
 ただの“根性論”ですから……。

 第一に大切なのは、実証の営みの実行力ではなくて――
 計画力です。

 その実験や観察・観測を、誰もが自然と実行したくなるような計画を練り上げる力――
 そのための着想力・構想力のことですね。

 これは“根性論”ではありませんよ。

 闇雲な努力では、「誰もが自然と実行したくなるような計画」は練り上げられません。
 人の心をつかむ魅力的な着想とか、その着想を安心して実行に移せるだけの現実的な手順を構想することとかは、そう簡単ではありません。
 少なくとも、闇雲な努力では捻りだせないのです。

 それらを捻りだすには、知識や経験――それと、持って生まれたセンス――
 これらを備えていなければ、「誰もが自然と実行したくなるような計画」は決して練り上げられません。

 自然科学の諸領域で実証の営みの重要性が協調されるときは――
 その実行力だけに焦点を当てた安易な“根性論”は排し――
 計画力に焦点を当てた合理精神が尊重されるべきでしょう。