いわゆる数学ギラいには2種類あって――
一つは、数学の問題が解けないから嫌いになっている人たちです。
もう一つは、数学の問題は解けるけれども、数学的な記述で扱える題材が世間にはあまりにも乏しいので――
それで数学が嫌いになった人たちです
つまり、
――数学を使っていたのでは、学術の議論が狭くて小さくなってしまう。
と考える人たちもまた、数学が嫌いになる――
ということですね。
そういう人たちは、数学を深く理解し、その限界を強く意識しているわけですから――
数学は基本的には得意です。
ですから――
世間からは数学ズきだと思われている――
でも――
実際には、数学が嫌いなのです。
そういう人たちの中には――
そうした誤解をあえて否定しない人たちも少なくないでしょう。
それで、喜んで子供などに数学の楽しさを教えようとしていたりする――
自分が本当に好きなことの楽しさは――
案外、うまく教えられないものです。
むしろ、嫌いなことの楽しさのほうが確実に教えられる――
おそらくは、「もっと自分で楽しもう!」という“色気”が生じないからです。