(歌というのは、いくらでも変わるんだな)
と――
この歌がリリースされたのは1974年で――
僕が生まれたのは1973年ですから――
この歌のリリースの頃を僕は知りません。
この歌を僕が知ったのは、高校1年くらいのときの映画館で――
宮崎駿さんの映画『魔女の宅急便』(1989年)のエンディングで流されていたのです。
映画の印象が強すぎて――
しばらくは宮崎さんのアニメーションの残像なくしては聴けなかったものですから――
僕は、この歌を、歌としては、それほど強く意識してこなかったのです。
が――
映画『魔女の宅急便』を見て10年くらい経った頃からは――
次第に残像が消えていき――
独立した歌として意識できるようになりました。
その頃の僕は、公的にも私的にも色々ありまして――
例えば、父が若くして亡くなったり、自分の人生の目標を疑ったりして、日々、悶々と暮らしていたわけですが――
そうした心情を背景に聴こえてきた『やさしさに包まれたなら』は、『魔女の宅急便』のときとは全く違っていました。
じゃあ、どうな風に聴こえてきたのかと問われれば――
一言ではいいあらわせない――いいあらわしたくないと思うのですが――
強いていえば、
(あ、こんな風な歌だったのね)
という風に聴こえてくるのです。
――とらえどころがない。
といっても――
いいのかな……。
歌には、けっこう大事な要素かもしれません。