言葉の扱いに十分に慣れてくると――
相手が断定をしているのか、それとも断定はしていないのか――に、ずいぶんと敏感になります。
通常、言葉の扱いに慣れている人が断定をすることは、極めて稀なので――
もし、断定をされていれば、
(おや?)
と思うのですね。
逆に――
断定がためらわれているようだと、
(そりゃ、そうだろう)
と思うようになる――
が――
言葉の扱いになれているわけではない人は、その逆で――
断定がされていないと、
(おや?)
と思う――
そもそも、相手が断定を避けていることに気づかない――
例えば――
相手が、
――AはBであるように考えられる。
と注意深く断定を避けていたとしても――
それを「AはBである……」と聞き取ってしまう――
「……ように考えられる」の部分を聞き落としてしまう――
要するに――
いくら自分が言葉の扱いに十分に慣れていても――
相手が言葉の扱いに十分に慣れていなければ――
重大な齟齬をきたしうる――
ということですね。