――今の時代、ネットで何でも調べられる。
などといわれますが――
実際には「何でも」というわけでは決してなく――
基本的には――
自分が知っていること・知っているものしか調べられないのですよ。
――ええ~! なに、それ~?
ということ・ものは決して調べられない――
もう少しいうと――
「調べられない」というよりは「見つけ出せない」――
が――
まれに、ネットで「ええ~! なに、それ~?」ということ・ものを見つけ出せる人がいまして――
それは――
もう、一種の才能だと思うのです。
例えば――
5年ほど前に日本で出版された書籍に『プルーストとイカ』という翻訳本があります。
「プルースト」というのは、20世紀初頭のフランスの作家で、『失われた時を求めて』の代表作で知られている――
「イカ」というのは、海中に生息する軟体動物で、ときに墨を吐いて天敵の目をくらましたりする――
これら2つの組み合わせは――
常識的に考えれば――
まさに「ええ~! なに、それ~?」の好例だと思うのですが――
このような題名の本を書店で見つけ出し、その書棚の前で、
――へえ~! イカにプルースト! 不思議な組み合わせだな~!
と感嘆をするのには、たぶん特別な才能はいりませんが――
このような題名の本をネットで見つけ出し、その画面の前で、
――へえ~! イカにプルースト! 不思議な組み合わせだな~。
と感嘆をするのには――
たぶん特別な才能がいると思うのです。