――本物の贅沢とは何か。
ふと、考えることがあります。
「本物の贅沢」というくらいですから――
「偽物の贅沢」というのも考えています。
それは、たぶん、
――誰かによって決められた何かをしてもらうこと
です。
例えば――
多額の費用を払って豪華客船・世界一周の旅――
それは、たしかに贅沢の一種であることは間違いありませんが――
たぶん、本物の贅沢ではないと思うのです。
なぜならば――
その船旅で受けられるサービスの内容は、あらかた決められているに違いないからです。
いつ出発して、どこを周って、いつ帰ってくるのか――
その客船の中では、どんなふうに過ごすことができるのか――
もちろん――
多少の選択肢なら、与えられるのかもしれませんが――
しょせんは限られた選択肢でしょう――そこには、さほどの自由はない――
よって――
もし、この「豪華客船・世界一周の旅」を本物の贅沢に仕上げるならば――
例えば――
いつ出発して、どこを周って、いつ帰ってくるのかを決められる――
その客船の中での過ごし方を一から考え出し、いくつかの候補の中から、本当に気に入ったものにだけに決められる――
そのようにするしかないでしょう。
本物の贅沢とは、
――最後は自分で決められる。
ということが――
何よりも大切なのです。
「豪華客船・世界一周の旅」の例でいえば――
本物の贅沢を楽しでいるのは――
その船旅の客ではなくて――
計画立案者です。