――狭いようで広い――
の形容が、しっくりくるものに――
太陽系があります。
天体観測の技術進展によって――
太陽系のような恒星系が幾つも集まって銀河系を形成し――
その銀河系が幾つも集まって銀河団を形成し――
その銀河団が幾つも集まって超銀河団を形成している――
などという話を聞くと、
(太陽系のなんとちっぽけなことか!)
と思ってしまいがちですが――
実際は、そうではないのですね。
先月、アメリカの航空宇宙局(NASA)は、1977年に打ち上げられた人工衛星ボイジャー1号が、
――太陽圏を脱出していたとみられる。
と発表したそうです。
(やっと太陽圏を脱出か~)
というのが、僕の正直な感想でした。
太陽圏は、太陽系とは厳密には異なる概念で――
太陽から放出される粒子の届く領域を「太陽圏」と呼ぶそうです。
その領域の端は太陽系の一番外側を回る惑星の軌道よりもずっと遠いのだそうですが――
素人の立場では、太陽系が占有する領域を「太陽圏」と理解しても、とくに問題はないでしょう。
いずれにせよ――
銀河系とか銀河団とか超銀河団のスケールで考えたら誤差の範囲内です。
で――
NASAによれば、
36年前に打ち上げた人工衛星が、ようやく太陽圏を脱出――いわゆる恒星間飛行に入ったとのこと――
この「恒星間飛行に入った」という表現が、泣かせますね。
SFの世界で「恒星間飛行に入った」といえば、
――いよいよ、これからが宇宙の旅の本番だぞ。
の合言葉で――
通常、物語は、まだ端緒についたばかり――
そんな合言葉を、打ち上げから36年が経った今、ようやく耳にしようとは――
少なくとも今の人類の科学技術力では――
太陽系は、あくまでも「狭いようで広い」なのです。