マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「語意」という名の“思い込み”で厚く覆われている

 ―― Black Friday (ブラック・フライデー)
 
 という言葉を初めて知りました。
 
 アメリカでクリスマス商戦が始まる日のことで――
 毎年11月の第4木曜日の感謝祭の翌日の金曜日を指します。
 
 1961年にフィラデルフィアで始まり――
 1970年代半ばにアメリカ全土で定着したといいます。
 
 当日、買い物に押し寄せる人々で道路が混むことから、「Black」の言葉が冠せられたそうですが――
“小売業者が黒字を上げる日”という意味も込められているそうです。
 
 というのは――
 日本語の「黒字」は、英語でも「黒(black)」を使って、
 
 ―― The black
 
 というのだそうです。
 
 ―― Our company got into the black! (わが社は黒字になった!)
 
 と――
 
 で――
 
     *
 
 僕は、この「Black Friday」を――
 おとといまで、まったく知らなかったのです。
 
 この言葉を最初に耳にしたときは――
 てっきり、「Black Thursday (暗黒の木曜日)」や「Black Monday (暗黒の月曜日)」などの金融事件(株価の大暴落)を思い浮かべました。
 
Black Friday」をまったく知らなかった僕にとっては、この言葉から「Black Thursday」や「Black Monday」を思い浮かべるのは、たぶん自然だったと思うのですが――
Black Friday」を十分すぎるくらいに知っている人たちにとっては、あまりにも違う概念を指す言葉なので、「Black Thursday」や「Black Monday」を思い浮かべようがないそうなのですね。
 
 むしろ、「Black Friday」と「Black Thursday」「Black Monday」とが字面としては似ているということにさえも気づかない――
 
 言葉というものは、「語意」という名の“思い込み”で厚く覆われているのですね。