マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

受恋から離恋へ

 5日前の『道草日記』で、

 ――円満な失恋には、受恋(じゅれん)を経て、離恋(りれん)に至る必要がある。

 と述べました。

 これは、当然ながら、恋をした方の問題ではなく――
 恋をされた方が留意すべき点だといえます。

 受恋とは――
 ここ数日の『道草日記』で再三、述べているように、

 ――相手の恋を認め、許し、相手の恋心を理解し、思いやること

 です。

 その上で――
 その相手と恋愛関係になったり結婚をしたりするわけにいかないときに――
 どうやって、そのことを相手に伝え、わかってもらうか――
 それが、

 ――離恋

 です。

 離恋の実践は、なかなかに難しく――
 つい勢い余って、拒恋(きょれん)――相手の恋を拒み、詰り、相手の恋心を理解しようとせずに、相手の存在をも否定し続けること――になってしまいがちなのですが――

 ちょっとしたコツを知っておくと――
 離恋が拒恋になるのを防ぐことができます。

 そのコツとは、

 ――感情と意志とを区別する。

 ということです。

 それは――
 相手の恋心の感情を正面から認識し、それに応えるわけにはいかない自分の感情を誠実に自覚した上で――
 それら相容れない2つの感情の落としどころを探っていこうとする態度です。

 感情の齟齬を意志の工夫で調和していく――
 とでもいいましょうか――

 まあ、一言でいえば、

 ――交渉する。

 ということなのですが――
 恋の交渉は、たとえ、どんなに図式が単純な交渉であっても――
 なかなかスムーズには進展しないものです。

 むしろ感情的なしこりが生まれやすく、深刻なトラブルが勃発しかねません。

 そうしたトラブルを防ぐためには――
 徹頭徹尾、感情と意志とを区別し続けることが必要です。

 ――あなたの感情はわかる。が、私の感情もわかってほしい。

 と頼んでみたり――
 あるいは、

 ――あなたと私が付きあうことは、あなたの感情を生かし、私の感情を殺すことになる。それでも、あなたは幸せか。

 と諭してみたり――

 こうした対話を継続することは、自分の感情を客観視するのはもちろんのこと、相手の感情を客観視する上でも、なかなかに有効です。

 お互いが、お互いの感情を客観視すること――
 それが、離恋のための第1ステップとなります。