いわゆるエッセイの名手は――
自分の日頃の言動をテーマにとりあげて――
しかも――
自分の良いところや悪いところを――
とことん客観視した上で――
エッセイを書いています。
自分のことを見事に突き放して語れるから――
そのエッセイが珠玉の輝きを放つのですね。
ところが――
……
……
同じエッセイの名手が――
自分の恋をテーマにした途端――
その“珠玉の輝き”が失せてしまう――
ということがあります。
理由は簡単で――
自分のことを突き放して語れなくなるからです。
恋をテーマにした途端――
自分のことや相手のことを、必要以上に飾ったり、必要以上に貶めたり――
してしまうのですね。
……
……
恋に客観性は不向きです。
客観的な恋など――
面白くもないし――
心にも響かない――
……
……
恋は主観的だからこそ――
面白くもなるし――
心にも響くのですね。
……
……
きのうの『道草日記』で――
5歳くらいの男の子に――
そのお母さんがしていた、
――恋の説明
をご紹介しました。
――恋って何?
と訊かれて――
曰く、
――“普通の女の子”と思っていたのに、ある日、突然、“特別な女の子”と感じることだよ。
と――
……
……
恋愛の主観性を――
見事に言い尽していると思います。