マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

100年前の恋愛事情を語るなら

 男女の恋愛事情は――

 100年くらいでは――
 ほとんど変わり映えしないといってよいでしょう。

 ヒトの体の形や働きは――つまり、生物種としてのヒトの体の形態や機能は――
 たかだか100年くらいでは、大きく変わることがないと思えるからです。

 が――
 人の心が経験する境遇は――つまり、社会的存在としての人の心を取り巻く環境は――
 100年も経てば、さま変わりしているものです。

 100年前には――
 例えば――
 スマートフォンやインターネットはもちろん――
 テレビやラジオでさえ、まだ存在してはいなかったのですから――

 ……

 ……

 こうした“男女の恋愛事情”の――
 社会的要素の差異性ばかりが気になって――
 生物的要素の同一性に気づかないのは――

 きわめて残念なことです。

 ……

 ……

 100年前の男性は、100年前の女性をどうみていたか――

 あるいは――
 100年前の女性は、100年前の男性をどうみていたか――

 それは――

 現代の男性が、現代の女性をどうみているかや――
 現代の女性が、現代の男性をどうみているかと――
 本質的には同じであるはずです。

 ……

 ……

 よって――

 もし――
 100年前の恋愛事情について――
 何かを語る機会があるならば――

 話題は――
 生物的要素に限るのが、

 ――粋

 です。

 社会的要素に広げるのは、

 ――野暮

 といってよいでしょう。