腹が立ったときに――
即座に笑える人は――
強いですね。
そういう人は――
自分の情に振り回されることがないのだと思います。
いわば――
意で情を完全に制御できる人です。
が――
その笑いは、決して引きつってはいけません。
腹が立ったときに笑うのなら――
ごく自然に、柔和に笑えていなければならない――
そうでなければ、笑う意味がない――
腹が立っているのに無理に笑おうとしている人は――
腹が立ったことを隠そうともしない人より、痛々しく、みすぼらしくみえてしまいます。
なぜか――
情が、人として自然な生理反応だからです。
本来、隠す必要のないことだからです。
隠す必要がないにもかかわらず、それを隠すなら――
完璧に隠さなければなりません。
あたかも、
――自分は生き物ではない。
と嘯かんばかりの勢いで――
それができないのであれば――
腹が立ったときに笑うということは、しないほうが無難です。