一般に、
――AはBだ。
のようにいわれて広く信じられていることのなかには――
実際には、根拠に乏しく、信じるに値しない主張があります。
それを、「信じるに値しない主張だ」と、しっかり見抜ければよいのですが――
その都度そのように見抜くのは、なかなかに困難なことです。
とくに、その主張が一見、本当らしいとき――常識的に考えれば極めて本当らしく感じられるとき――は、なおさらです。
では、どうするか――
つまり、「信じるに値しない主張」を鵜呑みにしないためには、どうしたらよいのか――
……
……
まずは――
その主張が、自分の好みの主張と同じか、あるいは、よく似ていないかを――
意識して吟味することです。
「信じるに値しない主張」の何が厄介かといえば――
その主張が好ましく感じられる場合に、すぐに自分の主張に取り入れたり組み込んだりしたくなってしまうからですよね。
その主張が好ましく感じられない場合には――
実は、それほど厄介ではない――通常、そういう主張を自分の主張に取り入れたり組み込んだりしたくはなりませんから――
その主張がいかに根拠を欠いた杜撰な主張であろうと、何ら実害はないのです。
ですから――
「AはBだ」といわれたら、まずは、その主張が自分の好みに合致しているかどうかを見極める――
冷静さを保っていれば、それは瞬時に判断できるはずです。
そして――
もしも自分の好みに合致しているとみるならば――
直ちに、その根拠を洗い出す――確たる根拠が存在するかどうか――いい加減な根拠だけではないかどうか――
その主張が自分の好みであればあるほどに――
根拠の洗い出しには、十分な時間と手間とをかけるのがよいでしょう。