マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

良い本というのは

 良い本というのは――
 まず第一に、たくさん売れていて――
 かつ――
 批評家や専門家などの評価も高く――
 読み応えを感じさせる本――
 ということになろうかと思います。

 そういう本が書店などで平積みにされているのをみると――
 なんだか安心したような気持ちになります。

 そういう本は――
 たいていは、書き出しがキャッチーで、読み手の好奇心を刺激しやすく――
 かつ――
 文章が十分に練られていて、途中でつっかえることなく読めるのですが――

(どうも、それだけではないぞ)
 と考えております。

 良い本には――
 読みやすいことだけではなくて、必ず読みにくいことが書かれている――

 明解で取っつきやすい説明の中にも、必ず難解で取っつきにくい説明が混じっている――

 読み手が思わず、

 ――ん? なんだ、これ……。きっと重要なことが書かれてるんだけど、どんな風に重要なのかは、ちょっと、すぐにはわからんぞ。

 と感じずにはいられないような――
 そんな説明が、必ず含まれている――

 当たり前ですが――
 こうした記述――“きっと重要なことが書かれてるんだけど……”と思わせる記述こそが――
 その本の肝であり――

 その“肝”を際立たせるために――
 その他の記述がある――

 良い本というのは、基本的に全て――
 そういう造りになっているようです。