マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

静寂の稲妻

 夕方、遅く――
 自宅に向かって歩いているときに――

 前方の空を見上げたら――
 どす黒い雲の塊が広がっていて――

 その暗雲を切り裂くように――
 白色の稲妻が、ほとばしりました。

 かなり強い閃光でしたから――
 当然ながら、数秒遅れで、凄まじい雷鳴がとどろくものと思っていましたら――

 無音――

 一切、雷鳴がしないのです。

(なんで?)
 と訝る暇もなく――
 また稲妻がほとばしる――

 が――
 まったく雷鳴はとどろかず――

(こんなことってあるのか)
 と思って――
 自宅に帰って――
 さっそくネットで調べてみたところ――

 こういうことは――
 ふつうにあるそうで――

 ……

 ……

 雷鳴は――
 半径10~15㎞の範囲でしか聴こえないのだそうです。

 つまり――
 雷の発生源から20㎞も離れていると、聴こえない――
 ただ稲妻が見えるだけ――

 一般に――
 雷雲の内部で放電が起き――
 雷雲全体が光って、稲妻自体は確認できない現象を、

 ――幕電(まくでん)

 というそうですが――
 幕電であっても、まれに稲妻がみえることはあるのだそうです。

 ……

 ……

 静寂なのに――
 稲妻だけがほとばしっている――

 静寂の稲妻は――
 けっこう綺麗でしたよ。