歴史を学んでいると、
――この人物は賢い! 凄い!
とか、
――この人物は愚かだ、凡庸だ。
などと――
いろいろ勝手なことを思うものですが――
そんなことを思いながらも、ずっと歴史を学び続けていると――
やがて、
――人の世は、昔も今も変わらない。
と痛感するようになります。
どういうことか――
……
……
他意はありません。
この世に住まう人々の賢さ、愚かさ、凄さ、凡庸さは、時代を越えて変わらない――
人々の性質や能力は、少なくとも統計的にみたら、差違は皆無――
今も昔も、まったく違いはない――
そういうことです。
*
毎年、夏になると――
昭和前期の歴史を調べます。
この国は昭和前期になぜ、あれほどの戦禍に見舞われたのか――
他の時代と比べて、何が違っていたのか――
そうやって昭和前期を他の時代と比べていくうちに――
いつも同じ結論に至ります。
すなわち――
この世には、いつの時代であっても、賢い人がいれば、愚かな人もいる――凄い人がいれば、凡庸な人もいる――
そういうことです。
人の世は、おそらく――
数十年や数百年が経ったくらいでは変わらない――たとえ数千年が経ったとしても、たぶん本質的には何も変わらない――
そういう原理を確認することに――
歴史を学ぶ意義があるように感じます。