イネの花というものを――
僕は見たことがありません。
田んぼ沿いの道を日々よく通るのですが――
これまでにイネが花を咲かせている様子は、まだ一度たりとも見たことがありません。
水田地帯に住まう方々のお話では――
イネの花といっても、白いものが僅かにチラっと見えるだけで――
日頃、農業に携わっている方々にとっては、とくに感じ入る光景でもないそうですが――
そうではない人たち――例えば、田んぼの近くに住んではいるけれども、とくに農業に携わっているわけではない人たち――にとっては、思わず、
――ほう。
と感じ入ってしまうような光景なのだそうです。
そのことを聞いてからは――
毎年、イネが花を咲かせる時期は――宮城でいうと、7月下旬から8月上旬にかけては――とくに注意して田んぼの様子を見ているのですが――
結局、今年もイネの花を見ることはできませんでした。
毎回、けっこう注意して見ていたのですがね~
田んぼ沿いの道を通るときには――
……
……
(なんで、こんなに見れないんだろう?)
と思っていたら――
きのう、
――イネが花を咲かせているのは、ほんの2時間くらい――
という話を知りました。
(え~! たった2時間?)
と驚きましたね。
それなら――
そう簡単に見ることができなくても不思議はないか――
ということが一つ――
もう一つは――
古くから田んぼの近くに暮らしている人がおっしゃるには、
「実際には見ているけれども、そうとはわからないだけかもしれないよ」
とのこと――
(たしかに……)
どちらの解釈にも頷けます。
……
……
まあ――
とにかく――
来年こそは見てみたいものだと思います、イネの花というものを――