社会における利益の分配や損害の分散が、政治の要諦ですが――
これら利害の調整を取り仕切るには、どうしても、ある意味での強引さが避けられません。
その“強引さ”をまずまず穏便に担保しているのが権力であり――
だからこそ――
政治を志す人たちは、どうしても権力を求めて蠢(うごめ)くことになります。
政治に全力で取り組もうとすればするほどに――
人は、権力を追い求めていくことになります。
政治に権力闘争がつきものなのは、こうした原理に由来しているといえましょう。
それでも――
政治と権力闘争とは分けて考えなければなりません。
それは――
例えば、料理をおいしく食べることと調理器具や食器類を適切に選ぶこととを分けて考えるように――
当たり前のことです。
何のために、その調理器具を選ぶのか――
何のために、その食器類を選ぶのか――
それを忘れたら、どんな料理であっても、決して、おいしく食べることはできません。