朝、テレビをつけていると――
最近、賃貸物件の情報検索サイトのCMをよく耳にするようになって――
そのCMで流される『ズンドコ節』の替え歌が妙に気になってきました。
なので――
その元歌を調べてみたのですが――
『ズンドコ節』といえば――
氷川きよしさんの『ズンドコ節』が、まず思い浮かびますね。
が――
1970年代生まれの僕にとっては――
『ズンドコ節』といえば、ザ・ドリフターズの歌です。
ザ・ドリフターズの全盛期に――
僕の学童期は少々かぶっています。
このドリフ版の『ズンドコ節』は1969年の発表でした。
これが元歌だと、ずっと思っていたのですが――
ドリフ版以前にも、小林旭さんが唄っていらしていて――
その『ズンドコ節』は1960年の発表――
これが本当の元歌かと思いきや――
それ以前にも様々な歌手の方々が唄っていらしていて――
本当の元歌は、『海軍小唄』というのだそうです。
太平洋戦争(大東亜戦争)の頃に人知れず作られた大衆歌らしく――
作曲・作詞の名義はハッキリしていないようです。
著作権の縛りがないので――
後世、数多くの歌手の方々によってカバーされ、アレンジされているのですね。
で――
この『海軍小唄』――別バーションとして、『陸軍小唄』ないし『軍隊小唄』というのも、あるようですが――
旋律やリズムもさることながら――
何よりも詞が重くのしかかってきます。
一見、軽妙で当たり障りのない語り口なのですが――
この国の太平洋戦争当時の趨勢を十分に把握し、想像力を存分に働かせると――
戦地に赴く兵士らの息遣いが生々しく感じとれるのです。
(こんな凄まじい歌だったのか)
と――
僕は感じました――大変に遅まきながら――
少し思うところがあって――
先日、僕にとっての『ズンドコ節』であるドリフ版を再確認したのですが――
そのドリフ版の『ズンドコ節』は、5人のメンバーが、1番から5番までの歌詞をそれぞれに唄ったあとに――
6番の歌詞として、『海軍小唄』の1番を全員で唄っていたのですね。
ドリフ版の『ズンドコ節』には、作家・作詞家のなかにし礼さんが補作詞として名を連ねていらっしゃいます。
最後に全員で『海軍小唄』の1番を唄うのは、
――元歌を忘れないで欲しい。
というメッセージでしょうか。
ドリフ版の『ズンドコ節』の詞には――
戦時中の雰囲気が、ほとんど感じとれません。
おそらくは昭和の時代を生きた凡庸ともとれる男性の、ある意味、奔放な女性遍歴を綴った歌です。
6番があるとないとでは――
聴く人の心の揺さぶり方が、まったく違うように感じます。