会話を途切れさせない能力というのは、
――この人とは、いつまでも会話を続けていたい。
と思えるような人が相手の場合ではなく、
――この人とは、できれば早く会話を終わらせたい。
と思ってしまうような人が相手の場合にこそ――
重要です。
いつまでも会話を続けていたい人との話題は――
その気になれば――
いくらでも、みつかるものです。
が――
できれば早く会話を終わらせたい人との話題は――
けっこう大変なのですよね。
……
……
巷間――
会話を途切れさせないコツとして、
――自分や相手が身につけている物品などを話題にする。
というのが指摘されているそうですが――
この“コツ”は――
できれば早く会話を終わらせたい人が相手の場合は、避けたほうが無難です。
では――
そういう相手との話題は、どうするのか――
……
……
簡単です。
自分は話をしたくないのに、話をしなければならない状況とは、どういう状況かを考えればよいのですね。
それは――
相手が一方的に自分と話をしたがっている状況です。
そういう状況では――
相手に思う存分に喋ってもらうのが、最善といえます。
ただし――
ただ喋ってもらえばよい、ということではありません。
相手の喋ることを、しっかりと聞いていないといけない――
相手の喋ることを、しっかりと聞くには――
相手の喋ることに、ある程度の関心を持たなければならない――
つまり――
相手の喋ることのなかに、自分自身の関心事を探し出さなければならない――
これは――
一朝一夕では、できません――日頃から自分の関心事を多種多様に用意しておく必要がありますので――
……
……
よって――
会話を途切れさせない能力とは――
第一に――
相手の提供する話題に、自分自身の関心事を見出す能力です。
では――
第二の能力とは何か――
それは――
第一の能力とは裏表の関係です。
つまり――
自分の提供する話題が、相手の関心事に触れるように仕向ける能力ですね。
こちらの能力は――
いつまでも会話を続けていたい相手には有効なのですが――
現実は――
そう甘くはありません。
どんなに自分が第二の能力に優れていても――
相手に第一の能力が欠如していれば、
――かなり厳しい。
といわざるをえません。
会話は2人でするものです。
いつまでも会話を続けていたいと思っている人と、できれば早く会話を終わらせたいと思っている人とでは――
鍵を握っているのは、“できれば早く会話を終わらせたいと思っている人”のほうです。
第一の能力で第二の能力を補うことは、できますが――
第二の能力で第一の能力を補うことは、できません。