色気がないからといって――
魅力がないわけではないのですよね。
性的な関心の対象にならなくても――
例えば、
――綺麗だ。
とか、
――清々しい。
とか、
――愛嬌がある。
とかといった様々な観点から――
人の外見や性格が肯定的に評価されることは、大いにありうるわけです。
が――
それでも、僕は、色気を大切にしたいと思っています。
なぜか――
それは――
性的でない観点での評価は、性的な観点での評価に、容易には影響を与えないのに対し――
性的な観点での評価は、性的でない観点での評価に、容易に影響を与えうるからです。
例えば――
色気のある人が、綺麗だったり、清々しかったり、愛嬌があったりすることは、ぜんぜん珍しくありません。
が――
綺麗だからといって色気を伴うことはなく――
清々しいからといって色気を伴うことはなく――
愛嬌があるからといって色気を伴うことはないのですね。
むしろ――
綺麗すぎたり、清々しすぎたり、愛嬌がありすぎたりすると――
かえって色気は減弱されたりします。
つまり――
人の外見や性格が評価される際には――
色気だけが突出して強い影響力を及ぼすのです。
これは――
性的な観点での感受性が、性欲という本能的な欲求に直に根差しているからこそでしょう。
他の観点での感受性は、どちらかといえば、観念的ないし抽象的な嗜好から分枝しています。
感受する性質の“生々しさ”が、まったく違うのです。