スピーチは――
どんな内容が話されたかではなく――
どんな人が、どんなふうに話したかに注目が集まりやすい、と――
僕は考えています。
よって――
もし、あなたが、これからスピーチをするのなら――
少なくとも極論としては――
何を話すのかは、どうでもよいのです。
それよりも――
どんな場面で、どんな人たちを前に、どんな立場で、どんな口調・表情で話すのかにこそ――
注意を払うのがよい――
長いスピーチは聴衆に嫌われますが――
その理由は――
おそらく、このことに由来しています。
すなわち――
スピーチでは、話し手の伝えたがっている内容よりも、話し手の背景や口調・表情が重視される傾向にあり――
かつ――
それら背景や口調・表情は、多くの場合、スピーチが始まった途端にわかってしまうことです。
よって――
もし、それらが、
――あまり良くない。
と、いったん判断されてしまったら――
もう、その後で、どんな素晴らしい内容を伝えても、
――蛇足
と、みなされかねないのですね。
実際――
僕が、これまでの人生の中で直に聞いてきたスピーチのうち、とくに印象に残っているスピーチは――
すべて話の内容を忘れてしまっています。
内容ではなく――
どんな場面で、どんな背景の話し手が、どんな口調・表情で話していたか――
それらばかりが鮮明に思い出されるのです。
この事実は――
スピーチの話し手にとっては――
ちょっと恐ろしいことですよね。