マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

非科学的な言説だけれど

 宮城では――
 先週の熊本地震の報道を受け、

 ――5年前の東日本大震災を思い出す。

 という声をチラホラとききます。

 5年という年月は――
 自分たちの被災体験をあらかた忘れ去るのには――
 ちょっと短すぎたのですね。

 僕自身も色々と思い出しますよ。

 電気・ガス・水道が止まる不便さ――
 余震による建物倒壊の恐ろしさ――
 健康面や衛生面に対する不安――

 どれも2度と体験・体感したくないことです。

 とはいえ――

 そうもいっていられない現実が――
 どうやら、あるようなのですね。

 どういう現実かといえば、

 ――“宮城は5年前に大地震が起こったばかりだから大丈夫!”とはいえそうにない。

 という現実です。

 そのことを嫌でも肝に銘じさせるのが――
 先週の熊本地震での前震の衝撃です。

 余震が収束しつつあるとみられていたなか、突然、本震が起こり――
 それまでの“本震”が“前震”に訂正された――
 という経緯です。

 この経緯には、正直、衝撃を受けました。

(そんなことって、あるの? ……っていうか、そもそも“前震”って、なに?)
 と――

 そういえば――
 中学の理科の教科書に「前震」という言葉が載っていたことを思い出し――
 その意味は、

 ――本震の前に起こる地震

 であり――

 同時に――
 当時のマル太が、
(“前震”というのは、それが起こった時には、“前震”とは絶対わからないんじゃないの?)
 と不思議に思ったことを思い出しました。

 この“不思議”の原因を――
 中学生のマル太は、神妙にも、自分の理解不足に求めたのですが……(笑

 それから30年くらいが経って、
(やっぱり、“前震”というのは、それが起こった時には、決して“前震”とはわからないものなんだ!)
 と確認がとれ――
 あらためて慄然としたものです。

(現代地震学というのは、僕が思っている以上に荒削りで、発展途上なのかもしれない)
 と――

 そうであれば――

 僕らは、こと地震に関する限り、現代科学を含む諸学問の知見を、あまり頼りにはできない――
 ということになります。

 ――東日本大震災の被災地に再び東日本大震災級の大地震が起こる――あるいは、さらに巨大な地震が起こるかもしれない。

 という言説は、かなり非科学的に聞こえますが――
 実際には、そうでもないということです。