――リスクをとる勇気
といいますね。
あえて危険なことに挑戦をする勇気のことです。
一方――
最近では、
――リスクをとらない勇気
ということも、いわれるようになりました。
危険なことへの挑戦をしっかりと自重する勇気です。
こう述べると、
――リスクをとる勇気とリスクをとらない勇気と、いったい、どっちが大切なんだ!
と訝る向きもあるでしょう。
結論からいえば――
どちらも大切です。
僕が2年前に監修として関わった『失敗が教えてくれること』で――
繰り返し述べられていることですが――
人の世のあらゆる営みの局面は――
だいたい2種類に分けられます。
利益獲得型の局面と損害回避型の局面との2種類です。
利益獲得型の局面におけるリスクとは、利益を獲得し損ねる危険性です。
損害回避型の局面におけるリスクとは、損害を回避し損ねる危険性です。
利益を獲得し損ねる危険性は、恐れてはなりません。
――得するかもしれなかったのが、無駄骨になった。
というような話ですから――
一方――
損害を回避し損ねる危険性は、きちんと恐れなければなりません――とくに、その損害が過多である場合には、なおさらです。
損害があまりにも過多でありすぎると――
人は、再起不能に陥ります。
多くの場合、「再起不能」とは、その人の死を意味します。
その意味では――
リスクをとる勇気よりもリスクをとらない勇気のほうが、より必要である、と――
いえそうです。