マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

水墨画で日本シリーズを

 雪舟宮本武蔵水墨画をみに――
 仙台市博物館へ行ってきました。

 特別展です。
 岡山県立美術館の所蔵する作品群が貸与されたそうです。

 僕は、水墨画を――
 決して嫌ってはおりませんが――

 でも――

 水墨画をみて――
 いつも思うのは――

(いかにも“過去”が先立ってくる)
 ということです。

 歴史上の画家たちが――
 当時の風景や人物をみて――あるいは、思い浮かべて――描いた絵ですから――
 論理的に当然なのですが――

 そういう論理展開の前に――
 水墨画をみたら、すぐさま、

 ――過去の風景や人物を描いたもの

 と思い込んでしまう――

 そんな自分の内なる色眼鏡を強く意識してしまう――
 ということです。

 もちろん――
 水墨画の良さは、過去を過去らしくみせるところにあるのではありません。

 色鮮やかな風景や活き活きとした人物を――
 あえて墨の濃淡だけで描いてみせる――

 そうした厳しい制約を乗り越えて伝わってくる色彩や活況にこそ――
 水墨画の良さはあるはずです。

 現代人が、真に水墨画の良さを実感するためには――

 例えば――
 きょうのプロ野球日本シリーズ――

 カープ・ファンの赤い衣装で染まったスタジアムの風景や――
 キャッチャーのタッチをかいくぐって本塁に滑り込む人物を――
 水墨画でみることでしょう。