子どもが、人の生老病死のことについて、大人をもハッとさせる言葉を口にすることは――
それほど珍しいことではありません。
例えば、
――病気には、治るものと治らないものとがあって、医者が治せるのは治る病気だけ――
とか――
……
……
おそらく――
大人たちが話しているところを聞きかじって――
覚えたものでしょう。
が――
子どもが理解をしているのは――
その言葉の文言だけであって――
その意味するところまでは――
ほとんど理解をしていない――少なくとも、実感はしていない――のが普通です。
大人たちが話しているところを聞きかじり――
その文言だけを覚えて大人たちをハッとさせ――
その後――
30年とか40年とかが経って――
ようやく、自分でもハッとする――
そういう話を――
たまに見聞きします。
生老病死のことは子どもにも広く門戸が開かれていますが――
その内奥へ至るには、相応の年月が必要なのです。