虚構は、あらゆる現実の制約から自由な表現手法です。
よって――
その虚構を用い、わざわざ現実の大部分を占める日常を描くというのは、
――どうも、しっくりこない。
そのように感じる方が――
少なくないと思います。
……
……
たしかに、その通りでして――
虚構で日常を描くのは、さながら、
――ナイフやフォークでお茶漬けを食べるような――
きまりの悪さがあります。
が――
もし、“お茶漬け”が――
例えば、“リゾット風”であれば、どうでしょうか。
たぶん――
ナイフやフォークで食べたとしても――
そんなにおかしなことには、なりませんよね。
虚構で日常を描く場合も同じです。
“お茶漬け”を“お茶漬け”のままで食べようとするから違和感が出るのであり――
“お茶漬け”を、思い切って“リゾット風”に仕上げてしまえば、違和感はなくなるのです。
つまり――
現実にあふれた日常をそのままに描くのではなく――
虚構で描きやすいよう、一部を誇張したり改変したりして描けばよいのです。