小説でもマンガでも映画でもTVドラマでも――
虚構であれば何でも構わないのですが――
虚構で人を泣かせるよりは――
虚構で人を笑わせるほうが――
ずっと難しいといわれています。
これと同じように――
虚構でハラハラどきどきさせるよりは――
虚構でホッコリぬっくりさせるほうが――
ずっと難しい、と――
僕は考えています。
なぜか――
“笑い”も“ホッコリぬっくり”も――
ともに日常だからです。
少なくとも、“泣き”や“ハラハラどきどき”よりは、日常の中心のほうにあるでしょう。
そして――
日常は現実にあふれています。
現実の大部分は、日常です。
あるいは、
――日常とは現実それ自体である。
といっても、過言ではないかもしれません。
つまり――
虚構で笑わせたりホッコリぬっくりさせたりするのが難しいのは――
虚構を用いて現実を描くのが――あるいは、現実の本態を描くのが――難しいからに他なりません。