虚構が現実のように思えることがあれば――
現実が虚構のように思えることもあります。
どちらが――
より危険かといえば――
それは――
もちろん、
――現実が虚構のように――
のほうでしょうが――
虚構が現実のように思えることは――
現実の経験を数多く積むことで――
ある程度は防げるのに対し――
現実が虚構のように思えることについては――
とくに、これといった予防策が、ないように思えます。
おそらく――
想像力を逞しくすることでしか――
防げません。
とはいえ――
想像力は、現実の経験を数多く積むことで――
だんだん摩耗していくものですから――
難しいところですね。
……
……
つまり――
人は――
自分の人生を過ごしていくなかで――
現実の経験を数多く積めば積むほどに――
虚構を現実と誤解する危険性は――
低めることができますが――
現実を虚構と誤解する危険性は――
高めてしまう一方である――
ということです。