マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「君子豹変」の使い方

 ――君子豹変

 には――
 今日、2つほど意味があって――

 一つは、

 ――社会的地位の高い人物は、ときに自分の発言や行動を節操なく改めることがある。

 で――
 もう一つは、

 ――人徳や学識のある人物は、自分の発言や行動の誤りに気づくと、根底から改める。

 です。

 当初は、もっぱら2つめの意味で用いられていましたが――
 現代では、1つめの意味で用いられることのほうが多くなっています。

 なぜか――

 おそらく――
 この言葉が、自身の言動を節操なく改める際には、好都合の言い訳となりうるからでしょう。

(言い訳で使う人が、もっと少なければ、1つめの意味がメジャーになることはなかった)
 と――
 僕は半ば本気で信じています。

 ……

 ……

 冷静に考えてみたら、

 ――君子豹変

 は――
 決して自己弁護に用いられる言葉ではありませんよね。

 ――君子

 とは、優れた人物――人徳や学識のある人物――を指します。

 自分で自分を「人徳や学識がある」と暗示する愚かさに――
 僕らは敏感であるべきでしょう。

「君子豹変」の「豹変」ばかりを意識していると、とんだ恥をかく――
 ということです。

 ……

 ……

「君子豹変」という言葉は――
 他者の英断を称賛し、支持するときに用いるのがよいでしょう。

 とくに――
 自分と見解を異にする人物が、激しい議論の末、最終的に自分と見解を一にしたときには――
 それとなく用いたらよいと思います。

 もちろん――
 その場合に、その人物に人徳や学識があると感じられることが必要条件です。

 でないと――
 ただのおべっかいですから――