――雑念を抑えて、心を穏やかに保つことが大切だ。
という話を――
最近、よく耳にするようになりましたが――
雑念というのは――
そんなに躍起になって抑えなければならないほど、悪いものですかね。
悪いのは、雑念ではなくて――
雑念に伴う不安であったり、焦燥であったり、憤怒であったり、落胆であったり――
そういった負の感情が悪いのですよ。
いいかえれば――
負の感情から切り離された雑念は――
むしろ、心を穏やかに保つのに、好都合かもしれません。
――煩雑で難解なパズルを解いていると、心が落ち着く。
という人がいます。
僕も――
そうした体験をしています。
煩雑で難解なパズルを解く心の営みは――
雑念でいっぱいのはずです――パズルというものは、ふつうは日々の生活に直接的には関わってきませんから――
それでも心が落ち着くという事実――
……
……
やはり――
悪いのは雑念ではありません。
雑念に伴う負の感情です。
実際――
いくら煩雑で難解なパズルを解いていても――
それが解けないことに興味をもち、あれこれと思いつきを試してみる喜びに浸ることができず――
ただ、いたずらにイライラばかりしていたら――
当たり前ですが――
心は絶対に穏やかにはなりません。