ずっと日当たりの良いところを歩いていると――
そうでないところを忘れてしまいがちです。
日当たりの良いところが、全てになる――
たしかに――
日当たりが良ければ――
明るくて暖かくて、歩くのも気持ちが良いのですが――
強い日差しに晒されつづける大変さ――
というものがあります。
やがて――
眩しくて暑くて、つらく感じるようになる――
その眩しさや暑さに耐えつづけようとすることで――
しだいに腹が立って、不機嫌になる――
そして――
日当たりの悪いところを歩いている人に――あるいは、日当たりの悪いところを歩かざるをえない人に――
何となく八つ当たりをするようになる――
――俺は日頃、こんな大変な思いをしてるのに、なんなんだ、お前は!
というふうに――
……
……
そういうことのないように――
ときには意識して――
あえて日当たりの悪いところを歩くようにするのが――
人生の極意でしょう。
とりわけ――
いつも日当たりの良いところばかりを歩いているような――
恵まれた人生を送っている人にとっては――
……
……
日当たりの悪いところを歩くのは――
そんなに悪いことではありません。
そよ風の涼しさや木陰の静けさに気づき――
それらの心地よさを存分に味わうことができます。