マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

男女の仲のわかりにくさ

 ある独身の男性が――
 友人の女性に、自分の生い立ちや両親との関係を話しました

 ところが――
 その内容は、恋人の女性には、いっさい話していないものでした。

 以上のことをもって、

 ――その男性は、恋人の女性のことを大切にしていない。

 といえるでしょうか。

 例えば――
 友人の女性のほうを無自覚に愛しているのであって――
 恋人の女性のことは粗略に扱っている、と――

 ……

 ……

 物語の恋愛としては――
 その解釈でよいと思います。

 つまり、

 ――その男性は、恋人の女性とは別れ、友人の女性を新たに恋人とするのがよい。

 といってよいと思います。

 そもそも――
 そのほうがわかりやすいし――

 物語では――
 しばしば、

 ――わかりやすさ

 が優先されます。

 が――

 ……

 ……

 実際の恋愛は――
 そうではありません。

 男女の仲は――
 決してわかりやすいものではありません。

 むしろ、わかりにくい――

 具体例を一つ挙げるなら、

 ――恋人だからこそ、話せないことがある。

 ということがあります。

 冒頭の例でいえば――

 その独身の男性は――
 自分の生い立ちや両親との関係に、劣等感を持っていた可能性があります。

 そして――
 その男性の恋人は、それらに対して、まったく劣等感を持っていなかった――

 その違いを無自覚に感知していたからこそ――
 その男性は、友人には話せたことが、恋人には話せなかったに違いないのです。

 その男性が――
 本当に恋人の女性のことを大切にしていないかどうか――
 本当に友人の女性を無自覚に愛しているのかどうか――
 について、確かな推論を得るには――

 その劣等感の違いを――
 男性に意識して感知させ、認識させることが必要です。