マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

討論の初歩的ポイント――○○○○

 討論は――

 テーマが二律背反でなければ――
 きちんとは成り立ちません。

 つまり――
 その討論の中で――
 一方が

 ――朝食にはパンがよい。

 と主張する場合には――
 もう一方は、

 ――朝食にはご飯がよい。

 と主張するのではなくて――
 必ず、

 ――朝食にはパンがよいのではない。

 と主張しなければならないのですね。

 この二律背反が徹底されていないと――
 討論は――
 討論としては成り立ちえず――

 しだいに――
 たんなる感情論の応酬となって――
 最終的には――
 非建設的な喧嘩へと成り下がってしまうかもしれません。

 ――私はパンが好きだっていってるだろお!

 ――何を! オレはご飯が好きなんだって!

 というように――

 ……

 ……

 よって――
 もし、討論を初等・中等教育で扱う場合には――
 この“二律背反”に細心の注意が必要なのですが――

 しばしば――
 その辺がナオザリにされる現実があるそうで――

 ……

 ……

 例えば――
 討論は、アメリカの初等・中等教育の主題の1つだそうですが――

 そのアメリカにおいてさえも――
 ときに、教師によって二律背反に無頓着なテーマが設定されてしまい、児童・生徒が無自覚に困惑する、ということが――
 珍しくないのだそうです。

 つまり、

 ――私はパンなの!

 ――オレはご飯だ!

 といったレベルの水掛け論に終始する“討論”に――
 なってしまうのですね。

 ……

 ……

 討論を教育で扱う際に――
 教師にとっての初歩的ポイントは、

 ――二律背反の設定

 にあります。
 間違っても、

 ――「朝食はパン」派と「朝食はご飯」派とに分かれて討論しなさい。

 などといわないようにすることです。

 そして――
 児童・生徒にとっては、

 ――二律背反の理解

 です。

 ――「朝食はパン」派と「朝食はご飯」派との周辺には、例えば、「どちらでもよい」派とか「朝食はパスタ」派とかがいる。

 ということを冷静に指摘できるようになることです。