マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

日本人は元号が好き?

 ――元号は民主主義の国家になじまない。

 という考え方があります。

 これは――
 元号が、

 ――専制君主は空間だけでなく時間も支配する。

 という思想に基づいていて――

 その時間の支配の象徴として――
 民や他国に使用を求めたからです。

 元号を考案し、その制度を確立させた古代・中国の政権は――
 実際に他国に使用を求めました。

 ですから――
 元号には、

 ――強権・強圧的

 とか、

 ――征服王朝

 とかいった負の印象が付きまとうはずなのですが――

 どうでしょう。

 そのような負の印象を元号に抱いている人は――
 少なくとも今日の日本では――
 明らかに少数派でしょう。

 たしかに――
 その少数派の人たちは――
 今日でも、元号の使用を拒否するか躊躇するかしているようで――
 その言い分には、ある種の説得力が感じられるのですが――

 でも――

 そのような人たちは――
 どちらかといえば――
 異端視されているように思います。

 それくらい――
 日本人は――
 どういうわけか、

 ――元号のことが好き

 ということです。

 ……

 ……

 かくいう僕も――
 好きか嫌いかと訊かれれば――

 あきらかに、
 (好き)
 なのですね。

 先日――
 あるアメリカ人と、日本の元号について、話をしていて、
 (やっぱり僕は元号が好きなんだな)
 ということに――
 あらためて気づかされました。

 ……

 ……

 では――
 なぜ元号が好きなのか――

 そう訊かれると――

 (はて……。なんでだろう?)
 と考え込んでしまいます。

 そのアメリカ人と話をしていたときにも、

 ――あなたは、なぜ元号を拒む人々に与しないのか。

 と訊かれて――
 返事に困りました。

 ……

 ……

 なぜでしょうね。

 ……

 ……

 古い伝統を大切に守り続けることに意義が感じられるから?

 ……

 ……

 たしかに――
 ごく一般的な意味で――
 伝統を守るのは良いことでしょうが――

 日本人は――
 どちらかというと――
 伝統を守るのが苦手ですよね。

 昭和中期には――
 古い町並みをせっせと取り壊していました。

 それをみた西欧人が、

 ――もったいない。

 と眉をひそめたといった類いの話は――
 枚挙の暇がありません。

 それなのに――
 なぜ元号は?

 ……

 ……

 この疑問――
 もう少し真剣に考えたほうが、よいかもしれません。

 続きは、あすに――