――日本人は、なぜ元号が好きなのか。
……
……
色々と考えましたが――
現時点の僕の答えは、
――自主独立の象徴だから――
というものです。
……
……
きのうの『道草日記』で――
僕は、
と述べました。
よって――
素直に考えれば――
元号が好きな日本人は、
――空間だけでなく、時間も支配しようとする専制君主の在り方を支持している。
という結論になるのですが――
話は――
そう単純ではありません。
……
……
手がかりは――
東アジア全体の歴史にあります。
その頃――
この国は、強大な先進国家の威圧を受けていました――中国です。
中国は、元号に関し、日本の遥かな先輩です。
その中国の圧力を常に肌で感じながら――
7世紀の日本人は、元号を用い始めました。
その意図は――
たぶん、ただ一つ、
――この国の自主独立を保つため――
です。
当時、東アジア最強であった先進国・中国の時間の支配に入ることを潔しとせず、
――自分たちの時間は自分たちで支配する。
と決めたのです。
この自主独立の気概は――
途中、元寇などで大いに揺れ動きはしましたが――
結局のところ、先ごろの太平洋戦争(大東亜先生)に敗れた際でさえ、どうにか保ちえました。
昭和の元号が、太平洋戦争を経て、なおも用いられ続けたこと――
そのこと自体が――
この国の自主独立の継続を――少なくとも象徴的には――示しています。
もちろん――
東アジアの現代史を振り返るに、
――今日の日本の安全保障はアメリカ軍によってもたらされている。
との指摘は簡単には否定できないのですが――
今日の日本が自主独立の気概を捨てしまっていると本気で信じている日本人は――
たぶん、そう多くありません。
……
……
今日の日本が自主独立であることを――
多くの日本人は――
元号を用いることによって絶えず確かめようとしている――
そう僕は思います。
そして――
以下が最も大切なことなのですが――
そうやって日本が自主独立であることを確かめようとする際に――
今日――
ほとんどの日本人は、
――とくに意識をせずに確かめている。
ということです。
日本が自主独立であることは、今日、幸いにも、あまりに当たり前すぎて――
意識をして確かめることなど、ありえない――
もちろん――
それを確かめるために元号を好んで用いていることなど、決して意識しえない――
そういうことではないでしょうか。
……
……
日本人の場合――
そんな姿を弁えつつも自主独立の体を懸命に守ってきた先祖たちの気骨です。
裏を返せば――
もし、7世紀の日本が、東アジアにおける強大な先進国家であったなら――
今頃――
日本は元号を捨て去っていたことでしょう――今の中国が、そうであるように――